オフィスや自宅、またコワーキングスペースなどにおいて、デスクワークと呼ばれる仕事は座って行う場合がほとんどです。ただし座ったままの姿勢で長時間仕事をしていると、集中が途切れやすかったり、運動不足や腰痛の原因になったりして、身体に悪影響を及ぼすことになります。
最近では健康維持や生産性向上を目的として、昇降式デスク(スタンディングデスク)を導入し、立った状態で仕事ができる環境を整える企業も増えてきています。しかし、立ち仕事によって座ったまま仕事をするデメリットは解消されるでしょうか。
今回は座り仕事・立ち仕事が身体に与えるリスクや最適な仕事をするときの姿勢とその効果について解説します。
座りっぱなしによる身体への影響
第三次産業の成長が大きくなり始めた1960年頃から、オフィスワークによる長時間座って仕事をするリスクが提唱されるようになりました。仕事に限らずとも、経過時間を意識せず集中し、座った姿勢のままでいると下半身の筋力の衰えや上半身の一部への負荷が表れやすくなります。
デスクワークの多い仕事をする人が腰や首、肩などを痛めてしまうのも、その箇所に負担がかかる姿勢を長い時間維持しているからです。
スタンディングワークとは
スタンディングワークとは「立ちながら仕事をする」働き方です。海外企業により始まった試みですが、近年は日本のオフィスでも導入している傾向が見られます。
長時間の立ち仕事もリスクがある?
座りっぱなしが良くないという論調が広まった一方、立った姿勢で仕事をすることが健康体を維持することにはつながらないという調査結果も発表されました。
立ち仕事により足や腰の筋肉を使うことにはなりますが、それが必ずしも身体に負担をかけないわけではありません。疲れて楽な姿勢をとると、また別の箇所に負荷がかかってしまいます。
生産性向上のコツは、デスクワークに「立ち仕事」を加えること
座る姿勢と立つ姿勢のどちらが身体の健康を左右するということではなく、同じ姿勢を長時間続けないことが重要です。
在宅ワーカーが増加したことで、平成14年に提示された厚生労働省による「VDT作業(液晶画面やキーボード等で構成される機器を使用した作業)における労働衛生管理のためのガイドラインについて」によると、「一連続作業時間が1時間を超えない」ことと次の連続作業までに「10~15分の作業休止時間を設ける」ことを目標として掲げており、さらに1時間以内の作業でも間に「1回~2回程度の小休止を設ける」ことを指針としています。
また、大手オフィス家具メーカーによる労働科学研究所との共同研究結果では、「2時間座り仕事を続けるよりも、1時間ごとに10~40分の立ち仕事を加えたほうが、腰の痛み(違和感)に対する自覚症状が軽減する」ことが報告されています。
先に挙げた厚生労働省のガイドラインとあわせて考えると、1時間に10分以上は姿勢を変えたほうがいいということがわかります。健康リスクを解消するためには、立ち仕事と座り仕事をバランスよく取り入れましょう。
座り仕事と立ち仕事を組み合わせるメリット
実際に座る姿勢と立つ姿勢を繰り返して仕事をすることで、次のようなメリットがあります。
腰痛や肩こりの負担が軽減される
腰痛や肩こりは、首や背中など上半身の姿勢に影響されて起こりやすい症状です。座り仕事の途中で時々立つことを意識すると、姿勢が変わり負担が軽減できます。
運動不足・筋力不足の解消につながる
身体への負担を軽減するには筋力が必要ですが、それを低下させてしまうのが運動不足です。立つ・座るという動作を繰り返すことで運動不足を解消し、筋力の低下も防ぎます。
立ちっぱなしによる足の疲れが楽になる
座ったままの楽な姿勢よりも立った姿勢を保ったほうが筋力を使うため、身体への負担や運動不足などは軽減できます。しかし、長時間同じ姿勢でいることが良くないのは立った姿勢でも同じです。時には座って、足の疲れをとるようにしましょう。良い姿勢を保っていれば、立っているときと同じように身体への負担を減らすことができます。
リフレッシュ効果を期待できる
時間を区切って姿勢を変えることで、気分のリフレッシュをすることができます。姿勢を変え、気分がリフレッシュできることで、モチベーションを維持しやすくなります。
集中力を維持しやすい
同じ体勢、特に座った姿勢のままでいると足腰はリラックスした状態になるため、眠気などで集中できなくなってしまうことがあります。立つことで体を動かすと、座るよりも緊張感が生まれ、集中して作業に取り組めます。
“立ったまま”会議で効率アップ
「スタンディングミーティング」とも呼ばれる立ったまま行う会議には、集中力の持続やアイデアのひらめきに効果的であることが海外の研究により言及されています。迅速な対応が求められる場合や新たなアイデアを引き出したいとき、座るよりも立って行ったほうが効率の良い会議にすることができるそうです。
座り×立ち仕事にはスタンディングデスク・昇降式デスクがおすすめ
デスクワークに立ち仕事を取り入れる場合、姿勢に合わせたデスクの高さが必要です。無理な姿勢で仕事をすると、腰痛や肩こりの原因となってしまいます。昇降式デスクなら高さを変えられるので、立ちっぱなし・座りっぱなしにならず、姿勢を変えて仕事をすることに対応できます。
健康リスクの対策にも! 仕事をする姿勢を見直そう
姿勢を変えることは健康維持に大きな効果があるだけでなく、集中して仕事に取り組めるので業務効率化にもつながります。特に事務作業の多い方は普段の姿勢を確認してスタンディングワークを取り入れていきましょう。
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