働き方改革により、オフィスをフリーアドレス制にする企業が増えてきています。固定席をなくすことで社内のコミュニケーションが活性化される効果がありますが、ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、導入している企業では正しく運用できているのでしょうか。始めてみたはいいけど結局同じ席になってしまう、社員の居場所がわからず業務の連携がとりづらい、などうまく機能していないケースも見受けられます。
今回はフリーアドレスオフィスのメリット・デメリットや、失敗しない導入方法を紹介します。
フリーアドレスオフィスとは
「フリーアドレス」とは従来のようにオフィスで個人の席を持たず、自分の席を自由に選んで仕事をするスタイルのことです。個人の席を決めないため、空きスペースを有効活用することができます。
なぜフリーアドレス化が求められているのか
フリーアドレスが生まれたのは1987年の日本。会社にいないことが多い外回りの社員を対象に、座席を共有することで空席を減らすことが狙いでした。しかし最初のブームとなった1980年代は、現在と違いパソコンや電話などの電子機器は小型化しておらず、一部の企業を除き運用は定着しませんでした。
フリーアドレス1.0から2.0へ、導入目的の変更
第一次フリーアドレスブームとなったフリーアドレスは「フリーアドレス1.0」、今のフリーアドレスは「フリーアドレス2.0」と呼ばれています。その2つには大きな違いがあります。
- 電子機器の発達やペーパーレス化などのテクノロジーの進化
- 導入目的は「コストを減らすため」だけではなくなっている
働き方の多様化
「働き方改革」によりオフィス以外の場所で仕事をする風景が増えつつあります。自宅はもちろん、カフェや訪問先企業のロビーなどでも仕事をする、という働く場所の選択肢が増えている今、フリーアドレスは多様化した働き方と相性がいいのです。
フリーアドレスオフィスにするメリット・デメリット
メリット
レイアウト変更に柔軟な対応が可能
固定席を持っている場合は荷物の整理・移動があり手間がかかります。しかし、フリーアドレスはこの手間がかかりません。また、人員の増減などにも臨機応変に対応できます。
コミュニケーションが活性化される
座る席が変わることによって、企業内のコミュニケーションが活性化されます。日ごとに接する人が変わるため自然とコミュニケーションが増え、仕事の効率が上がる効果を期待できます。
自発的・自律的な働き方につながる
席が自由なため、その日の仕事に合わせた環境を「自分で」考えて整える必要があります。そのため、自律的に仕事を進められるようになります。
コスト削減・スペースの有効活用
フリーアドレスとはコスト削減のために提案された働き方のため、フリーアドレスの活用はオフィススペースの削減につながります。もともとオフィス内に人が少ない企業の場合は、社員全員の席を用意する必要がなくなります。
オフィスの美化・整理整頓になる
個人専用のデスクがなくなると、仕事が終わると荷物をロッカーに収納する形になります。そのため、デスク周りがキレイになります。
デメリット
社員の管理や業務進捗の把握がしづらい
決まった席を持たないため、誰がどこにいるのかわかりづらいです。そのため、連絡をとる必要がある場合は社員を探す手間が生まれてしまいます。
備品の収納や持ち運びに工夫が必要
従来のオフィスのように個人のデスクがないため、収納場所に気を配る必要があります。
フリーアドレスは向いている業種と向いていない業種がある
フリーアドレスが向いている業種とは、モバイルワークが可能な業種や、営業や派遣が多く在籍率が少ない業種です。逆に向いていない業種は、経理事務など居場所が明確なほうが働きやすい業種や、クリエイター系などデスクトップパソコンが必要な業種です。やみくもにフリーアドレスを導入する前に、一度フリーアドレスに向いている業種か確認することが大切です。
オフィスのフリーアドレス化を成功させるポイント
ここからは、フリーアドレス化の成功に必要なポイントを説明していきます。
目的を明確にして、社員に共有する
まず、「フリーアドレスを採用する理由」を明確にしましょう。今までの体制を変える理由をしっかりと説明・共有し、フリーアドレスを導入することによる期待感を持ってもらうことが大切です。
運用が続く体制にする
維持する仕組みをしっかりとつくらないと、フリーアドレスが形骸化する危険性があります。部分的にフリーアドレスを採用し、新入社員には席を固定するなど、状況に応じた運用を行うことが必要です。
ツールや設備を整える
フリーアドレスの成功にはツールや設備を整えることも重要です。社員の状況を把握するためのチャットツールや、個人の荷物を管理するためのパーソナルロッカーの活用は必須とも言えます。
フリーアドレスの導入方法と流れ
ここからはフリーアドレスの導入方法について解説していきます。
目的を決める
今までとの環境が変わることに不安を感じるのは当たり前。そんな不安の声を解消するために、目的をしっかりと伝えて理解してもらいましょう。
対象範囲・対象者を定める
「デメリット」の部分で説明したように、フリーアドレスには向いている業種と向いていない業種があります。一度に全員をフリーアドレスにするのではなく、営業職など向いている業種から導入、指定した範囲内でフリーアドレスを実施する「グループアドレス」の導入もおすすめです。
座席数を決める
対象範囲・対象者を定めたあとは「座席数」を決定します。外回りが多い社員、テレワークの社員などの座席は削減対象とし、同時に出社する社員の数から「座席設定率」を割り出して、それに見合った座席数を設定しましょう。
運用方法を定める
フリーアドレスの運用には2つの種類があります。範囲の指定などなく、自由に空いている席の中から選ぶ「完全フリーアドレス」、グループ内で席を選んでフリーアドレスを実施する「グループアドレス」です。2つの運用方法を場面に合わせて使い分けていきましょう。
オフィス家具やツールを用意する
フリーアドレスで使うオフィス家具にはさまざまな種類があります。デスクの移動が簡単にできるキャスター付きのタイプや、人員の増減にすぐ対応できるものなどです。オフィス家具はオフィス運用を見据えた形で選びましょう。また、先ほど紹介したパーソナルロッカーなども一緒に選びましょう。
しっかりと計画を練ったうえで、自社にとって最適なスタイルを導入しよう
やみくもに導入するのではなく、まずは自社にフリーアドレスが合うか、目的は何かなどをしっかりと確認したうえで、正しく機能する体制を整えることが重要です。その際、オフィスのレイアウト変更や会議・休憩スペースの活用もぜひ視野に入れてみてください。
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