換気が十分にされていないオフィスで仕事をしていると、「仕事が捗らないな」と感じることはないでしょうか? 換気には空気環境を快適にし、仕事の効率をあげる効果があると言われています。さらに最近はウイルス感染対策としても、屋内換気の重要性が見直されています。
人が密集しやすいオフィスのような場所では、特に十分な換気量を確保することが必要です。今回は、オフィスの特徴に合わせた効果的な換気方法や対策について紹介します。
オフィスの換気と空調の必要性とは
オフィスでは多くの人が集まって業務を行っています。換気をしなければ室内の空気中には二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、ウイルスや菌、さらにハウスダストなどが増えすぎてしまい、働く人の健康リスクが上がるといった悪影響が懸念されます。そのため、大型のオフィスビルでは換気量を確保するために、空調設備が設けられています。
オフィスを換気する上で知っておきたい空気環境基準
オフィスの換気については、厚生労働省が「ビル衛生管理法」によって空気環境の基準を設定しています。
浮遊粉塵の量0.15mg/㎥以下、一酸化炭素の含有率100万分の10以下、二酸化炭素の含有率100万分の1000以下、温度17℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下、気流0.5m/秒以下、ホルムアルデヒドの量0.1mg/㎥……と細かい数値が定められています。
オフィスを換気しないことによる影響
オフィスを換気しないと室内の空気中に二酸化炭素、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、ハウスダスト、花粉、ウイルスや細菌といった好ましくない物質が増加します。
これらはオフィスで働く人の健康に影響を及ぼします。例えば、二酸化炭素濃度が上昇し、酸素濃度が低下すると頭痛や倦怠感、めまいなどの原因となり、業務効率も低下すると言われています。中毒症状で知られる一酸化炭素も換気を怠ると室内濃度が上昇し、頭痛や倦怠感、吐き気やめまいに繋がる恐れがあります。
また、ホルムアルデヒドやハウスダスト、花粉はアレルギー症状を引き起こす可能性があり、ウイルスや細菌は感染症リスクを高めます。
エアコンでオフィスの換気はできる?
オフィスで使用されるエアコンの大半は室温を調整するのみで、換気をすることはできません。エアコンの仕組みは、室内の空気を吸い込み、その空気の温度を調節した後に室内に戻すものだからです。快適な空気環境にはエアコンによる温度や湿度の調節も欠かせませんが、エアコン以外の方法で換気を行う必要があります。
オフィス換気に適した時間や回数もチェック
ここではオフィス換気に適した時間や回数をご紹介します。
オフィスの必要な換気量
オフィスに必要な換気量は空調・衛生工学会規格によると1人あたり毎時30㎥とされています。必要換気量は室内に何人がどのような密度でいるかによっても変わります。
オフィスの必要な換気時間と回数
オフィスに必要な換気時間は、一般的に1時間あたり10分程度が理想とされています。また、必要な換気回数は、必要換気量(㎥/h)を部屋の容積(㎥)で割って算出する数値が目安とされています。
オフィスの換気方法は自然換気と機械換気の2種類
オフィスの換気は部屋の容積や人の密度によって必要な量が変わってくることをご紹介しました。効率よくオフィスを換気するための方法として、自然換気と機械換気の2種類があります。
自然換気
自然換気とは名前の通り、窓や扉を開けて外気と室内の空気を自然に入れ替える方法です。
機械換気
機械換気とは、換気扇や送風機といった機械を利用して空気を入れ替える方法です。機械換気には次の3つの種類があります。
第一種換気
第一種換気とは、給気と排気の両方を機械で行う方法です。オフィスビルや映画館に使用されています。
第二種換気
第二種換気とは給気を機械で行い、排気を自然換気によって行う方法です。室外の汚れた空気が室内に入らなくなるため、工場のクリーンルームや手術室に使用されます。
第三種換気
第三種換気とは給気を自然換気で行い、排気を機械で行う方法です。室内の空気が周囲に流出しにくいことから、においや熱気を他に広げたくない住宅のキッチンやトイレ、お風呂などで使用されています。
オフィスを換気するときのポイント
オフィスを換気するときのポイントを解説します。
窓やドアを開けて空気の通り道を作る
窓やドアを1時間に2回程度、開けて換気しましょう。その際、窓は2ヶ所開けて空気の通り道を作るようにします。さらに対角線上にある窓を開けると空気が流れやすくなり、部屋全体を効率よく換気できます。
空調設備の手入れやメンテナンスをする
壁や天井の換気口のフィルター、換気扇のファンなど、空調設備が汚れていると換気能力が落ちてしまいます。定期的に清掃手入れやメンテナンスを行いましょう。
窓が開かない部屋の換気方法
部屋のドアを開けて、送風機などで空気が流れるようにしましょう。換気口が部屋の外にある場合は、部屋の奥と手前に送風機を置いて室外に空気を出し、換気口が部屋の中にある場合は、送風機で部屋の中に空気を送るようにします。
効率良く換気することで快適なオフィス環境を作ろう
オフィスや店舗の換気では、まず備え付けの換気設備を確認し、それを使った適切な換気を行いましょう。 ただし時間帯によって人が集まったり、間仕切りが変更されたり、フィルターがつまったりすることで、換気が十分にできない可能性もあります。
それぞれの働く環境や建物のつくりに応じて、いままでご紹介した方法で空気の流れをつくることで効果的に換気が行えます。また、会議室などでは、会議終わりにドア開け換気をするなど、人の動きに沿って無理なく上手にできる換気を習慣化しましょう。
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