オフィスの新しい形として昨今増加傾向にある、社員ごとの固定席を設けない「フリーアドレス」制。フリーアドレスには、コミュニケーションの活発化、業務効率の向上など多くのメリットがあります。
しかし一方で、収納がうまくいかずに社内が雑然とした印象になったり、セキュリティ上の不安が生じたりといった課題を抱える職場も少なくありません。フリーアドレスを導入する場合には、収納をどのように考えるか、というのはとても重要なポイントです。
今回は、フリーアドレス制に伴う収納の課題と改善案、また収納に役立つグッズをご紹介します。
フリーアドレスオフィスとは?
フリーアドレスオフィスとは、従来型のような固定席を設けないワークスタイルです。昨今のリモートワークや在宅勤務の急激な拡大により注目が高まり、導入する企業が増加しています。
会社にとっては、オフィスの空いているスペースを有効活用でき、物品購入コストやスペースコストの削減につながります。また社員にとっては、それまで関わりのなかった他部署のメンバーとコミュニケーションが取れるようになり、生産性の向上が期待できるなど多くのメリットがあります。
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フリーアドレス化で起こる私物収納の問題
フリーアドレス制にはたくさんの利点がある一方で、固定席がないことで生じる問題もあります。その最たるものが社員の私物や業務上扱う資料などをどうするか、といった「収納問題」です。ここではフリーアドレスにした場合に課題となる収納問題をケース別に紹介します。
ケース1: 小物や仕事道具の持ち運びが大変
固定席があった時と異なり、各自の荷物は出社のたびにロッカーから取り出す必要があります。人によっては習慣化するまでに時間がかかり、ストレスに感じることもあるでしょう。
運用開始直後は慣れない従業員のフォローをしっかり行うことが大切です。また社員には、会社内になるべく私物を持ち込まないよう指導することや、フリーアドレスの意義についてあらかじめ共有しておくことが大切です。
ケース2: 個人ロッカーだけでは収納しきれない
フリーアドレスにした場合に、社員ごとにあてがわれるロッカーは固定席であった時の収納スペースと比べ、小さくなるのが特徴です。また、細かな文房具など従来はデスク内やキャビネットの引き出しに入れておけたものが、ロッカー式になることで収納しづらくなります。
その他、コートやブーツ、出張用トランクなどの大型のものに関しては、個人ロッカーに入らないことも多いため、会社全体として共有の収納場所を別途設けるなどの対応が必要です。
ケース3: デスク・テーブル周辺が散らかりやすい
フリーアドレス導入後は、固定席があった時以上に整理整頓に気をつける必要があります。デスク周りに収納がなく、すぐに物が散乱しやすいためです。
デスクの上のほか、意外と見落とされがちなのは足元。つい私物などを置きっぱなしにしてしまいがちなゾーンですが、社内が雑然とした印象になってしまいます。社員それぞれに、デスク周りを常にすっきりと保っておく意識付けを行いましょう。
ケース4: 盗難や紛失といったセキュリティ面のリスク
フリーアドレスでは少しの離席の際にも、荷物の盗難・紛失の恐れがあります。大規模なオフィスや人の出入りが激しい職場などでは特に注意が必要です。
毎日決まった場所で仕事をしていれば、物がなくなったことに気付きやすいですが、フリーアドレス制にした場合は本人も周りも気付きにくいといった側面があります。わずかな離席の間だけでもパソコンのロックや荷物の片付けを徹底する必要があるでしょう。
フリーアドレスと一緒に導入すべきおすすめの収納方法
フリーアドレスの導入が決まったら、併せて取り入れると効果的なルール決めや収納方法についてご紹介します。
収納管理のルールを決める
フリーアドレス導入の前に、社内で私物管理の明確なルール決めをしておくとよいでしょう。
例えば以下のようなルールです。
・不要な私物は極力持ち込まないこと
・業務で使用しないものはロッカーに入れておくこと
・離席時はデスクを片付けること
・その日の業務終了時には除菌シートでデスクを拭いておくこと
運用開始後はルールがきちんと守られているか、無理がないかを確認し、都度修正を加えていくこともポイントです。
ペーパーレス化を取り入れる
紙で保管していた資料や書類は、フリーアドレスの導入を機にペーパーレス化にシフトしていくのがおすすめです。電子データに変換された資料は、社員がその後もアクセスしやすいように共有フォルダに入れて管理し、機密性が高いデータにはアクセス権限の範囲を設定することも忘れずに行いましょう。
鍵やメール穴付きの個人ロッカーを設置する
フリーアドレス導入には、鍵付きのロッカーは必須です。さらにパソコンやスマホの充電ができたり、郵便物の投稿口が付いていたりするというフリーアドレス対応のロッカーもありますので、併せて導入を検討するとよいでしょう。
共有の文房具を準備する
フリーアドレス導入に際して、文房具の共有化もできれば社内用の私物管理コストの削減にもつながります。ただし文房具はそのまま私物化されやすいため、共有の文房具の紛失が頻繁に起こる場合には、使用時に持ち出しと返却の記録をつけるようルール決めするなど対策が必要です。
共有の収納スペースを用意する
個人のロッカーに入りきらないコートやブーツなどは共有ロッカーを設置しましょう。共有文房具は社内中央のキャビネットなどに、コート類は出入り口付近の壁に沿って配置するとよいでしょう。
ネット通販でも手軽に購入できる人気の収納グッズ
より快適なフリーアドレスオフィスを実現するために、さまざまな便利グッズがあります。ネット通販でも手軽に購入できるので、ぜひ一緒に検討してみてください。
ノートPCや文房具を持ち運べる収納バッグ
ボックス型の収納ケースに持ち手が付いており、パソコンやスマホ、資料などがまとめて入れられる収納バッグ。ミーティング時にいちいちパソコン類一式を抱えて移動する必要がなくなります。
内部に仕切りが付いており、ペン類が入れられたりサイドにペットボトルが入れられたりするポケット付きのものもあるので、外出時にそのまま持ち出すことも可能。もちろん、そのままロッカーにも収納できます。
書類整理やカバン置きに便利なフリーワゴン
どうしても常に一定量の紙の資料が必要な職種は、都度ロッカーにたくさんの荷物を出し入れするのは大変なものです。固定席のデスクの下にあったキャビネットをスリム化したサイズのフリーワゴンを導入すれば、必要な物をロッカーから毎回を取り出すことなく済み、移動時もワゴンごとすぐに動かせるので便利です。
収納スペースの整備と収納グッズを準備して、オフィスをすっきりおしゃれに
フリーアドレスは職場にうまく取り入れることができると、多くのメリットがあります。しかし事前に収納計画をしっかり行わないと、逆にモノが散乱し、デスクまわりが雑然とした印象になってしまいかねません。はじめに社内ルールを徹底し、収納スペースの整備を行うことが大切です。加えて便利な収納グッズの活用をすることで、理想的なフリーアドレススタイルが実現します。
フリーアドレスの導入にあたっては、収納面も含めて自社に適合するレイアウトを十分に検討する必要があるでしょう。オフィス改善に役立つ豆知識をお届けしているAQレントでは、ワークブースやオフィス家具のレンタルサービスを提供しています。レンタルを活用すれば必要なときだけ利用できるので、初期費用や処分の手間が省けて便利です。