店舗を円滑に運営していくうえで必要な業務には、どんなものがあるでしょう。たとえば、店舗の開店準備、接客、商品販売やサービス提供、商品の仕入れや在庫管理、店内のレイアウトや陳列、スタッフの採用や教育、販促のための宣伝や広告など…。こまごまとした日常の業務を挙げたら、きりがないほどです。
この記事では、店舗運営の基本となる3つの管理業務や、店舗運営に必要なスキル、店舗運営に役立つ業務改善の方法に的を絞って詳しく解説します。
店舗運営とは？
店舗運営とは、レストランや居酒屋などの飲食店や、雑貨店やアパレルなどの小売店、その他のさまざまな業種の店舗の運営の一切を取り仕切り、必要な業務を円滑に遂行し、商品やサービスを提供することです。主に店舗の責任者である店長が担当します。
店舗運営では、「ヒト・モノ・カネ」を効率よく管理することがポイントです。つまり、「ヒト」にあたる店舗スタッフの採用・育成・教育や過不足のない配置などの【人材管理】と、「モノ」である店舗で販売する商品が品切れになったり、過剰在庫になったりしないようにする【在庫・仕入れ管理】、店舗の売上目標を達成し利益を最大化するために必要な【売上管理】の3つを押さえておくことが重要です。
店舗運営の具体的な業務内容
ここでは、店舗運営の基本となる【人材管理】【売上管理】【在庫・仕入れ管理】の3つの管理業務について具体的に解説します。
人材管理
人材管理では、店舗業務の遂行に必要なスタッフの人数や配置を決定します。各スタッフの適正を見抜いたうえで、配置や役割分担を決めなければなりません。また、店舗を運営するためのスタッフが不足している場合には採用活動を行い、新たに採用したスタッフが業務に必要なスキルを身に付けられるように教育を施します。適切な人材管理により業務がスムーズに実行できることで業務効率の向上が期待できます。
売上管理
売上管理では、現状の売上を把握して、期間（年間／月間／週間／毎日）別や、時間帯別での売上を分析します。もしも売上の落ち込みがあれば、その原因を探り効果的な対策を打って今後の売上の改善につなげます。
在庫・仕入れ管理
仕入れ管理では、仕入れ先の選定、見積依頼や発注、納入商品の検品、在庫管理、棚卸といった一連の業務の管理を行います。また、商品の仕入れ価格や納品時期などを仕入れ先と交渉する折衝や調整も重要です。在庫・仕入れ管理が円滑に行われなければ、在庫切れや過剰在庫が発生し店舗経営に支障をきたします。
店舗運営に必要なスキル
店舗運営を担う店長には、店舗スタッフ以上のスキルが求められます。では、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。ここでは、店舗の運営を任される際に要求されるいくつかのスキルについて解説します。
マーケティングスキル
店舗の売上げを最大化するためには、顧客の購買傾向を詳細に調査/分析し、そこから売れる商品やサービスを見極めて店舗にそろえ、集客に必要な広告などの販促を展開するとともに、競合をリサーチして価格を見直したり販売ボリュームを調整したりするマーケティングのスキルが求められます。
コミュニケーションスキル
店舗を円滑に運営するためにはスタッフとのコミュニケーションスキルが必要です。たとえば、店長はスタッフの接客態度などに目を配り、必要があれば適切にアドバイスすることも求められます。このような場合に、店長のコミュニケーションスキルが低いと、アドバイスを受けたスタッフが反感を抱いたりモチベーションが低下したりすることがあります。
一方、スタッフとのコミュニケーションがきちんととれる店長は、店舗運営に関するスタッフからの貴重な意見を得ることが容易であったり、店長に対するスタッフの信頼も厚くなったりすることで、スムーズな店舗運営が可能になります。
クレーム対応・接客スキル
店舗運営においては、顧客からのクレームを避けて通ることはできません。ある程度のクレーム対応についてはスタッフでも可能ですが、クレーム対応を間違えると悪い評判が立ち店舗経営に悪影響を与えかねません。店長には、自ら矢面に立ってクレームに対応し顧客の不満を解消するクレーム対応スキルが求められます。もちろん、クレームを未然に防ぐための接客スキルも店長には必要です。
店舗運営の効率化
店舗運営においては、業務の改善は骨の折れる仕事です。普段何の疑問もなく日常的に行っている業務の中にムダを見つけ、コツコツ改善を積み重ねることで、スタッフが効率よく業務をこなすことができる環境を整え、業務効率化と利益の増加へつなげていくことが求められます。
では、店舗運営の効率化はどのように進めていけばよいのでしょう。ここでは、店舗運営の改善に広く用いられているECRS（イクルス）についてご紹介します。
業務改善の指針「ECRS」とは
店舗運営の業務改善の指針として用いられるECRSをご存じでしょうか。ECRSは、業務を改善するうえでの「順番」と「視点」を示す考え方で、以下の4つの単語の頭文字をとった略語です。
- Eliminate（排除）
- Combine（結合と分離）
- Rearrange（入替えと代替）
- Simplify（簡素化）
ECRSを業務改善に適用すると、改善効果が大きく改善が過剰になったり過小になったりすることが起こりづらく、改善による不要なトラブルも避けられることが知られています。
排除
業務改善でまず検討すべきは「排除」です。日常の業務の中からなくしても店舗経営への影響が少ない作業を削減することができれば、コストや手間をかけずに改善効果を得ることができます。特に手間がかかったり必須と思い込んだりしている作業をなくす効果は大きいものがあります。たとえば、「朝礼や終礼」「売上が少ないサービス」「定期的な報告」「全員が集まる会議」など、ふだん疑問を持たずに行っている日常化した業務については、その必要性を再検討することが大切です。
結合と分離
いくつかの類似した業務をまとめて集中化することで、その業務に必要な設備や備品、スタッフを削減できます。一方、属性が異なる業務を分離することで、各業務の類似性が高まりスムーズに業務を行うことができます。「結合と分離」の改善は、コストや手間が少ないので実施が容易です。
入替えと代替
「排除」「結合と分離」の次に検討するのが「入替えと代替」です。つまり業務を行う順序、場所、担当スタッフの入替などにより効率化できる業務がないか検討します。入替えと代替により、スタッフの業務の変更が生じますが、業務の変更は小規模なので変更はそれほど困難ではありません。
簡素化
業務の実態を測定･分析することで、その業務を本来のあるべき姿にしていきます。業務を行った結果に違いがなければ、より効率的に業務が行えるように簡素化を推進します。複雑で時間を要する業務などはツールなどを活用して自動化を進めることが望まれます。たとえば、「書類作成のテンプレートを用意」「クラウドを使ったスタッフの情報共有」「スマホやモバイル端末を使って連絡時間の短縮」などの取り組みが挙げられます。
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